リストラや倒産、自己都合により離職した場合、新しい仕事を探すことになります。
しかし、今のご時世なかなか仕事が見つからないことが多いですよね。
自身の希望する仕事がなく、条件などを妥協して決めてしまうと、後々後悔することにもなります。
今回は当面の生活費を確保できる失業保険を解説。
この記事を読めば、今後仕事を離職した場合でも、決して焦らずに就職活動に臨んでいただくことができます。
「失業保険とは」
失業保険とは、失業中の人が不安なく生活ができるように失業給付(基本手当)を支給し、次の仕事を1日でも早く見つけれるよう支援する制度。
窓口で職業相談・求人紹介を受けるなどの求職活動を行った上で、失業給付が支給されます。
「給付の条件」
失業保険の給付条件
- 離職日以前の2年間に通算して12ヶ月以上雇用保険に加入している
- 失業中であること
- ハローワークへ求職申請をしていること
自己都合による離職の場合は、2年間で通算12ヶ月以上の加入期間が必要。
リストラや解雇、倒産など特定の事情(会社都合)で失業した人は、離職日以前の1年間で通算6ヶ月以上の雇用保険に加入していれば受給可能になります。
ここでいう失業中とは「働く意思・能力ともにあるが職業に就けず求職活動を行っている状態」のこと。
失業中は、原則4週間に2回以上は求職活動が必要になります。
「求職申請は直接ハローワークに行って申請する方法」
「インターネットで申請する方法」
「受給開始はいつから?」
雇用保険は手続き後、すぐにもらえるわけではありません。
離職後にハローワークで所定の手続きをし、受給手続き後7日間の「待期期間」が必要です。
会社都合で離職する人は、待機期間の終了後に受給が始まりますが、自己都合の場合はさらに2~3ヶ月ほど受給制限があります。
「受給期間はどれだけ?」
給付日数に関しては「自己都合」か「会社都合」退職理由によって異なります。
そして、雇用保険期間によって変わります。
自己都合の場合
勤続年数 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
65歳未満 | 90日 | 120日 | 150日 |
会社都合の場合
離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上~20年未満 | 20年以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳以上 35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上 45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上 60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上 65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
「受給金額はどれだけ?」
まず「基本手当日額」を求める必要があります。
基本手当日額とは、給付を受ける際の1日の給付額になります。
賃金日額は(退職前6ヶ月の賃金(給与)の合計÷180
つまり、退職する前、6ヶ月間の平均日当のこと。
賃金日額に給付率を掛けた額が基本手当日額になります。
基本手当日額の計算式
基本手当日額 = 賃金日額(退職前6カ月の賃金合計÷180) × 給付率(50~80%)
賃金日額、基本手当日額の上限額は?
離職時の年齢 | 賃金日額の上限額 | 基本手当日額の上限額 |
29歳以下 | 13,630円 | 6,815円 |
30~44歳 | 15,140円 | 7,570円 |
45~59歳 | 16,660円 | 8,330円 |
60~64歳 | 15,890円 | 7,150円 |
賃金日額、基本手当日額の下限額は?
賃金日額の下限額 | 基本手当日額の下限額 | |
全年齢共通 | 2,500円 | 2,000円 |
基本手当日額の給付率は?
離職時の年齢 | 賃金日額(w) | 給付率 |
29歳以下 | 2,500円以上5,010円未満 | 80% |
5,010円以上12,330円以下 | 50〜80% | |
12,330円超13,630円以下 | 50% | |
13,630円(上限額)超 | – | |
30~44歳 | 2,500円以上5,010円未満 | 80% |
5,010円以上12,330円以下 | 50〜80% | |
12,330円超15,140円以下 | 50% | |
15,140円(上限額)超 | – | |
45~59歳 | 2,500円以上5,010円未満 | 80% |
5,010円以上12,330円以下 | 50〜80% | |
12,330円超16,660円以下 | 50% | |
16,660円(上限額)超 | – | |
60~64歳 | 2,500円以上5,010円未満 | 80% |
5,010円以上11,090円以下 | 45~80% | |
11,090円超15,890円以下 | 45% | |
15,890円(上限額)超 | – |
※厚生労働省による「令和2年3月1日からの賃金日額・基本手当日額」を参照
※y=0.8w-0.3{(w-5,010)/7,320}w を基に算出
※y=0.8w-0.35{(w-5,010)/6,080}w,y=0.05w+4,436 のいずれか低い方の額
「基本手当日額」シュミレーションで確認
シュミレーション
会社員Aさん
35歳
自己都合による退職
雇用保険期間13年
退職前6ヶ月の賃金 毎月350,000円
賃金日額
350,000円×6ヶ月÷180日=11,600円
下記の計算式で基本手当日額を求める
y=0.8w-0.3{(w-5,010)/7,320}w を基に算出すると
0.8×11,600-0.3{(11,600-5,010)/7,320}×11,600=6,558円
6,558円×120日(最大給付日数)=786,960円
会社員Aさんの場合は最大で約78万円ほどの受給資格があります。
仮にAさんが会社都合の場合
6,588円×240日(給付日数)=1,581,120円
約158万円になります。
「お祝い金がもらえる再就職手当」
失業保険の受給中に再就職をした場合、一定の要件を満たすと再就職手当が給付されます。
再就職手当は早期に再就職した人向けに作られた、お祝い金のような制度です。
再就職手当は、失業保険(基本手当)の給付日数の3分の1以上の支給日数がある場合に給付されます。
ただし、以下の条件があります。
「再就職手当はいくらもらえる?」
給付日数の3分の1以上を残した状態で就職した場合に残日数の60%、
給付日数の3分の2以上を残した状態で就職した場合には、70%を基本手当日額に乗じて得た額が支給されます。
再就職手当をシュミレーション
例)
先ほどの会社員Aさん
36歳
給付日数120日
給付日額6,588円
100日(3分の2)を残して就職
6,588円×100日=658,800円
3分の2以上の給付日数が残っているので70%が支給される
658,800円×70%=461,160円
再就職手当の額は、461,160円になります。
おわりに
日本には失業保険や再就職手当のように、次の仕事が見つかるまで、生活資金をサポートする制度を利用できます。
現代社会ではパワハラなどによる過度のストレスで精神疾患を患い、仕事が出来なくなった人が多くいます。
本当に苦しいときは、手遅れになる前にこれらの制度を利用して、新しい就職先を探しましょう。
世の中はいくらでも選択肢があります。
大事なことはこのような制度を知っているかどうかです。
まずこのような制度があることを頭の片隅に入れておく。そして今後もし退職するようなことがあれば、これらの制度をしっかり利用しましょう。
不安な人はハローワーク行くと丁寧に教えてくれます!