近年、政府の投資促進の影響もあり、個人でも投資をはじめる人が増えつつあります。そして、さまざまな投資手法のなかで「高配当株投資」も注目されています。
この投資手法は企業から配当金という形で「不労所得」が入る投資です。しかし、取り組む上でいくつか注意点も存在します。
この記事では高配当株投資の基本的な概要や独立系FPがおすすめする銘柄5選を紹介します。また自身で銘柄を見つける際の選び方も解説するので、これから高配当株投資を検討している人に役立つ情報です。
ぜひ最後までご覧ください。
「そもそも高配当株って何?」
高配当株投資とは、簡単に言うと「配当利回りが高い銘柄」に投資をすることです。
「配当金」や「配当利回り」と聞いて「???」となる人も多いかもしれません。以下でそれぞれの意味を説明していきます。
・配当金とは
では配当金とはなんでしょう?
配当金とは、企業が事業で得た利益を株主に分配することを言います。
例えば
A社
今期1,000万円の利益を上げる
その内の「100万円を株主に分配する」といった形です。
・配当利回りとは
つぎに「配当利回り」について説明しますが、高配当株投資において重要な言葉なので、きちんと理解しておきましょう。
「配当利回り」とは、「自身が投資した金額に対して何%の配当金を受け取ることができるか」ということです。
配当利回りの計算式は以下になります。
年間配当金÷現在の株価×100
例えば
A社
今年1株あたりの配当金を100円だとします。
そしてA社の株価が現在2,000円
これを計算式にあてはめると
A社の配当利回りは5%になります。
※実際にはここに所得税などの税金がかかりますが、ここでは割愛させていただきます。
・配当利回り3%から高配当株
では、配当利回りは何%から「高配当株」に位置付けられるのでしょうか。これについては、正式な定義はありません。しかし一般的には3%以上から高配当株と位置付けられているようです。
これは、投資の世界で一般的なリターンは3~7%程と言われているからです。
したがって高配当株銘柄を探す場合は、配当利回り3%以上のものを選ぶとよいでしょう。
「高配当株の選び方」
ここまで高配当株投資の解説をしました。
ここからは配当利回り3%以上で、どのような銘柄を選べばよいかをみていきます。
過去の配当を確認する
まずは過去の配当実績を確認しましょう。
重要なことは、毎年安定して配当金を分配してくれるかどうかです。
銘柄によっては「前年度は配当金が多くあったが、今年はほとんどもらえなかった」ということも十分にありえます。
最低でも直近5年間の配当実績を確認し、安定して配当金が支払われているか見ておきましょう。
業種を分散する
業種を分散することにより、業種別の株価暴落リスクを軽減できます。
例えば、飲食業や小売業の銘柄は、今回のコロナで大打撃を受け、株価は大暴落を起こしていました。
しかし、一方の医薬品メーカーはコロナ禍でも株価が上がりやすい状態が続いていました。このように、複数の業種に分散投資することで、ある程度の株価暴落リスクを軽減できるでしょう。
いくら配当金を多く受け取れても、株価自体が大きく下落してしまうと資産は目減りしてしまいます。そのため、1つの銘柄、1つの業種だけに投資するのではなく、複数の銘柄、複数の業種に分散投資することを心がけてください。
業績が安定している銘柄を選ぶ
安定して配当金をもらう場合、企業の業績も安定していなければなりません。
配当金は企業の儲けた利益から還元されるものであり、企業に利益が無ければ還元されません。
したがって毎年安定した利益を出せている企業を選ぶようにしましょう。
財務状況が安定しているか
財務状況を確認するのは、ややこしくて面倒と感じる人も多いでしょう。
しかし投資を行ううえで非常に重要な要素なので、しっかりと確認しましょう。
財務状況を確認するうえで重要な指標は次のとおりです。
- 営業利益
- 自己資本比率
- 配当性向
営業利益とは「企業が上げた本業での利益」のことです。
企業は利益が無ければ配当金を分配できません。
そのためには企業が順調に本業である営業利益を上げていることが重要です。
もちろん、営業利益以外の「経常利益」も重要ですが、まずは本業がうまくいっているかを営業利益でしっかりと確認しておきましょう。
「自己資本比率」とは、総資本のうち自己資本が占める割合のことです。
株式投資で細心の注意を払わなければならないことの1つに、企業の倒産リスクがあります。
その倒産リスクの「高い」「低い」の判断基準の1つに「自己資本比率」があり、この比率が高ければ高いほど倒産リスクが下がります。
そのため銘柄を選択する際は、自己資本比率が30%以上の銘柄を選ぶようにしましょう。
自己資本比率の計算式は以下のとおりです。
自己資本÷総資産×100
では、自己資本比率をわかりやすくA家族とB家族のケースで計算してみましょう。
A家族
貯金:500万円
住宅ローンなどの負債:500万円
A家族で計算すると、500万円÷(500万円+500万円)×100=50%
B家族
貯金:100万円
住宅ローンなどの負債:500万円
B家族で計算すると、100万円÷(100万円+500万円)×100=16.6%
A家族の資産状況の方が、明らかにB家族より破産リスクが少ないですよね。
企業もこれと同じで、自己資本比率が高いほうが倒産リスクは少なくなります。
「配当性向」とは、企業の純利益にうち、どれくらいの割合で配当金を分配したかと示す指標のことです。つまり、「利益に対してどれくらい配当金を分配しているか」がわかります。配当性向の計算式は以下のとおりです。
配当金÷利益×100
この配当性向は、数値が高ければ企業が配当金をだす意欲があって評価できると思われがちですが、実際にはこの数値は高すぎないほうがよいです。
なぜなら、配当性向が高いということは、企業は無理をして配当金を分配している可能性もあるからです。
例えば、A社の利益が100万円で、配当金が70万円だったとします。
この場合の配当性向は
利益に対して70%もの配当金を支払っています。
企業は残りの30%しか事業に投資できないことがわかりますよね。
つづいてB社の利益が200万円で、配当金が70万円の場合は
利益に対して35%のみを配当金として支払っています。
この場合、企業は利益の65%を事業に投資することができ、さらにまだまだ配当金を多く支払うだけの体力があることもわかります。
このように、ただ配当性向を高い銘柄を選択するのではなく、きちんとした利益を出せているのかも慎重に把握しておくことが大事です。
「おすすめの高配当株5選」
ではおすすめの高配当銘柄を5選紹介します。
前述で解説した2024年4月26日現在の「配当利回り」「営業利益」「自己資本比率」「配当性向」なども載せています。
JT
KDDI
MIXI
武田薬品
LIXIL
JT(2914)
JTはタバコ事業で、高配当株としては人気の高い銘柄です。
近年、禁煙推進の傾向が強くなっており、業績が右肩下がりではありますが、先日に増配を発表したことで人気が再上昇しています。
配当利回り | 4.7% |
営業利益 | 前年度672,510(百万円) |
自己資本比率 | 52.6% |
配当性向 | 71.4% |
株価 | 4,177円 |
KDDI(9433)
KDDIといえば、auブランドの携帯電話でおなじみの大手通信会社です。
KDDI株はJTと同様に高配当銘柄として人気の高い銘柄です。
配当利回り | 3.08% |
営業利益 | 前年度1,075,749(百万円) |
自己資本比率 | 38.4% |
配当性向 | 43.5% |
株価 | 4,380円 |
MIXI(2121)
以前はソーシャルネットワーキングサービスで有名な企業でした。現在はスマホゲーム「モンスターストライク」が収益源。
配当利回り | 4.57% |
営業利益 | 前年度24,820(百万円) |
自己資本比率 | 81.3% |
配当性向 | 155.1% |
株価 | 2,405円 |
武田薬品(4502)
国内製薬会社首位の武田薬品。巨額買収で世界売上上位10に入ります。
医薬品・日用品の需要は不況になっても比較的安定しているという特徴があり、武田薬品工業は業績が比較的変動しにくいディフェンシブ株として知られています。
配当利回り | 4.4% |
営業利益 | 前年度490,505(百万円) |
自己資本比率 | 47.4% |
配当性向 | 88.11% |
株価 | 4,089円 |
LIXIL(5938)
住宅設備最大手。トステム、INAX等5社が統合した会社です。
住宅価格の高騰などで、近年ではリフォーム需要が拡大しているのもLIXILにとって追い風になっています。
配当利回り | 5.34% |
営業利益 | 前年度24,903(百万円) |
自己資本比率 | 33.7% |
配当性向 | 162% |
株価 | 1,684円 |
「まとめ」
今回は高配当株投資の解説と、オススメの高配当株5選を紹介しました。紹介した銘柄以外にも魅力的な銘柄はまだまだ多く存在するので、ぜひこの機会で探してみてください。
その際は「配当利回り」「営業利益」「自己資本比率」「配当性向」を意識してお気に入りの銘柄を探すことです。
また、投資を行う上で重要なことは長期・分散・積立です。これらをきちんと理解してから投資を行いましょう。長期・分散・積立について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
投資における基礎的なことや考え方について直接相談したい場合は、中立的な立場で提案してもらえる独立系FPがおすすめです。
もし、神戸で、「アドバイス型の独立系FP」をお探しの方は「NEWSTYLE神戸FP相談」でも相談が可能です。
「NEWSTYLE神戸FP相談」では完全中立で金融商品をいっさい販売しない独立系FPが相談者様の利益を優先して対応致します。
オンラインでも対応可能なため、神戸以外の方からのご相談もお待ちしております。